京都から帰宅

関東のソメイヨシノが花を散らすころ
飛騨に入った私は、その後は京都の貴船に

京の奥座敷を拠点に洛北を中心に回る
仕事の合間をぬった少し忙しい旅

朝日の中の貴船神社
特に奥社までの道は清々しい

約2か月ぶりに帰宅の途に就いた早朝
歩きなれた貴船川のほとりの緑は眩しい
鞍馬山の上から射し込む光線が見送る

叡山電車は山を下り、出町柳からバスで四条へ
四条大橋から眺める洛北の景色がもうなつかしい

地元の方から祇園さんと親しまれる八坂神社
御所の青龍に位置する京都の東の守り神

京都最終日の参拝となってしまったが
きちんとお参りしたかった場所

素戔嗚命、櫛稲田姫、八柱御子神が主祭神
それ以外にも重要な神々が祀られる

各地で御霊(ごりょう)として祀られる牛頭天王
蘇民将来之子孫也と書かれるお札は有名

祇園祭、八坂祭とはもともと牛頭天王の祭り
牛頭天王を称え、地域の怨霊を鎮める

そういったことを知らないのも気が楽でいい
和服を着こなした後ろ姿の美しい女性は外国人

日本人よりも日本を楽しむ東洋の女性でした

八坂の本殿を巡った後に、輝く鳥居に引き寄せられる
宗像三神を祀る美御前神社

美しくありたいと願う人々の思い
水と技芸の弁財天でもある

そんなことを感じながら円山公園を抜ける
歴史のありそうな料理旅館のそばに小さな弁財天

山のふもとの水の宮は吉水弁財天
青龍の場所で湧き出す水の本宮のような気がした

親鸞上人の御廟に向かう参道
積み重さねられた東山の美は青空に映える

お昼をまわったころ
四条から伏見稲荷へ向かう

荷物をコインロッカーに預けて山登りの準備
外国人観光客と修学旅行生の波の中に突入

貴船でも街中でも感じたことだが
今更ながらに外国人観光客(特にアジア系)が多い

昼時の伏見稲荷はまるで浅草の雷門
京都人気に時期(連休明けと夏のオンシーズンの狭間)は無関係

眷属たる白狐も誇らしげにあきれてる

人気を支えるのは千本鳥居
稲荷山を一周すると大小一万近くの鳥居があるようだ

山を登り、山を下る中で見る鳥居の景色だけでも圧巻
着物姿で一周する女性もいるが、無謀なのか無邪気なのか

妙に似合っているところも庶民の稲荷のなせる業
懐が深い稲の神、田の神

今は多くの名前を付けられた祠が立ち並ぶ
それらの多くは長い年月の間に個人が建てたものだ

元となる跡蹟は限られている
代表的なのは一ノ峰、ニノ峰、三ノ峰の聖域

気になったのが各峰の神霊に供え物をする御膳谷
古来から平らな石(御饌石)に供物が捧げられた
三つの峯に囲まれた特別な場所(神々の前の谷)だ

そして剣岩の周辺
長者社が建つ厳かな気を放つ領域
秦家の祀る聖域だったようだ

山の中腹の四ノ辻と田中社
そこから街を見渡すことができる

右は京都の中心方面、左は大阪方面か

ご神体たる稲荷山

赤い鳥居に輝く太陽
山頂の青空も澄み渡る

稲の神、宇賀魂命(宇迦之御魂神)
導きの神、猿田彦命(佐田彦大神)
舞踊で導く天鈿女命(大宮能売命)

古来からの地主神ともいわれる
田中神と四柱の神

稲荷山に感じた豊かな実りと衣食住安定への願い
太陽への感謝も古来からつづく祈りであったのだろう

神仏習合の時代からこの山は庶民の信仰に包まれ
修行の地であったことは今では忘れられている

空海との縁も深い