軽井沢に暮らす ひと月 満ち月

軽井沢に暮らしはじめて、はや、ひと月
若葉の森で小鳥はさえずり
夏を呼ぶ虫たちも合唱をはじめた

住宅地に近い中軽井沢では草花
鮮やかな緑の大地が美しい

五月の連休には森の緑が明るく芽生え
川はせせらぎ、喜びが流れる

ここは浅間山の穏やかな気の溢れる楽園
森の精、水の精が無邪気に遊ぶ

シェアリングハピネス
そんな言葉がぴったりの軽井沢

道を歩くと白い花に呼び止められた
淡い赤の山つつじはそよ風に揺れた

憧れのブライダルステージ
ホテルブレストンコートには花の柱と壁
石の教会には幸せがおごそかに響く

道草のケシの花
青の高貴さがこの街にはお似合いだ

旧軽井沢を碓氷峠に進む
長野県と群馬県の境に熊野皇大神社

ヤタガラスに守られた聖域
しなの木もたくましく立つ

青もみじは鮮やかに
苔むす古道は静やかに

名物のそばと力餅を食し
しげの屋のテラスから遠く彼方を見渡す

見晴らし台からは360度の景観
これも軽井沢の楽しみ方

軽井沢から小諸まで遊ぶ

緑の中の赤と黒
ケシの花のコントラストに立ち止まる

藤のような白い花(名前はわからない)
さわやかな甘い香りが宿場町に香る

北國街道を佐久平まで向かう
昔の米問屋は活気に満ちていたのだろう

ここは詩人や作家の街でもある
千曲川のほとりで心も敏感に震える

しなの鉄道で長野駅まで向かう
およそ一時間半の電車旅

途中には、上田、戸倉、八屋、安茂里
昔懐かしい名前が記憶を蘇らせる

20年以上前に数年暮らした長野
想いでの地域は時を経てわたしのなかに蘇る

長野に到着すると駅周辺の変化に驚く
ずいぶんとオシャレになった

戸隠まではバス

奥社で春の山菜天ぷらそばを楽しむ
ようやく食べられた本物の戸隠そば

天までそびえる杉の参道
ゆっくりと、ゆっくりと、歩く

ただいま

わたしの中で欠けていたピース
長い年月を経て、ようやく埋まった

戸隠神社と九頭竜神社をお参りして
せせらぎを聞きながら戸隠連峰を拝む

穏やかに、楽しい気持ちで中社に向かう
中社の神に感謝をささげて帰りのバスを待つ

それぞれの幸せ

夕刻になってしまったが善光寺で下りる
ここでも、それぞれの幸せな人生を願う

年を重ねて、澱(おり)が下りたのかもしれない
澄んだ想いに残ったのは喜びと感謝
そして楽しかった思いで

戸隠と長野に来てよかった

今日はうえさくの満月
京都鞍馬では祈りが捧げられている

それぞれの新しい生活と家庭
幸せの満月に人の心も満たされますように

静かな森の中でまん丸の宇宙鏡をながめると
いつの間にか閉ざしていた心の窓も開く

岩戸開きの軽井沢生活ははじまった