太陽を追いかけて 朝日から夕日

わたしには熱海は朝日の場所
眠い目をこすりながら港に向かう

朝焼けの中から朝の太陽
次第に明るく黄金色に輝きはじめた

ヨットハーバーから灯台
海の出入り口を喜びが照らす

小さな旗は渚にゆれる
海鳥たちも潮にあそぶ

4月10日のはじまりまじまり

朝を吸い込む湾にはいくつものモニュメント
光線が座るベンチのフォルムも美しい

海辺の手すりで雀が陽を見つめる
気持ちよさそうに羽を震わせてさえずった

ビーチにつながる恋人たちの岬
この日も思い出の縁が結ばれることだろう

しばらく暮らした熱海
海まで十分、山すそまで十分

ゆっくり歩いて坂道を楽しむ

朝日に満足したこの日
午前中はのんびりして午後から夕日を追いかけた

無人の改札、来宮駅から出発
品のある駅舎が好きだ

熱海駅経由で三島駅
三島からは初めて乗った伊豆箱根鉄道の駿豆線

さてどこから夕日を観ましょうか
伊豆半島の真ん中を通る電車の旅

午後の光にまどろみながら
まずは終点の修善寺駅まで

修善寺温泉まで東海バスで十分
ずいぶん前に車で訪れた懐かしの地

渋滞の中、ようやく辿り着いた記憶
今回は春眠の落ち着いた旅

以前よりずいぶんときれいな街並み
山の神(山王)を祀る日枝神社の大木

少し目が覚めてきた

海辺に向かう前に立ち寄っただけの観光地
そのつもりだったが、風情のある温泉地

気負ったところのない美意識を感じる
山間で静かに思いやる祈りの土地

空海伝説の伊豆の奥地
温泉療養をもたらした独鈷の湯

寺は真言宗、臨済宗、そして曹洞宗へ
密教から禅宗へ変遷しながらも凛として立つ

力強い屋根と龍
新緑に訪れる人も鳥たちも嬉しそうだ

ここは伊豆の巡礼地の最終寺
初めて、八十八目の札所だと知る

満願の伊豆

あるものは長寿健康を願い
あるものは豊かさを願い
あるものは恋の成就を願う

わたしの願いも叶ったのか(笑顔)

小さな温泉地
沢の音を聞きながらゆっくりと散策

伊豆の小京都

今は青もみじ
竹林の歩道には大きな円形のバンブーベンチ

川の中に立つ独鈷の湯
桜の囲い幕に女性的センスを感じる

足湯に浸かり
ゆったりした時間と長年の癒しをいただく

さて、夕日の名所
西伊豆の土肥(とい)に行きますか

修善寺温泉から修善寺駅まで戻る
そこから土肥温泉までバスの往復切符を購入

天城の山波を西に越え
金を採掘した山を抜けてゆくと駿河湾

五十分のバス旅
また、まどろみの峠道

目が覚めるとちょうどいい時間
夕日が西の彼方に広がった

松原を越して、漁港の防波堤を歩く
釣り人を横目に、先端まで進む

朝の太陽は、東伊豆の熱海(温泉)で
春の眠り陽は、中伊豆の修善寺(温泉)で
沈む夕日は、西伊豆の土肥(温泉)で

相模湾で、朝日を拝み
天城の山あいで、春陽を楽しみ
駿河湾で、夕日に染まる

伊豆の太陽
これぞ、満願(笑顔)

ありがとう
Everything