熱海の朝日 沼津の夕日 そして富士

熱海生活は約二か月
坂道を登り下りした日々もこの日が旅立ち

港に出てゆっくりと昇る朝日を楽しむ
地平線から伸びる太陽の道

揺らめく波に光がキラキラと踊る
細やかな輝きが水面でぴょんぴょんと跳ねた

アクアマリンの空の光輪
漁に向かう船(港に帰る船かもしれない)

港と船と山並みの街
熱海らしいな、と顔がほころぶ

岬の先端の波しぶき
海風にそよぐ藤の花

足をのばして頼朝ゆかりの今宮社へ
大きな楠と恵比寿様が大漁と平安をもたらす

これで、やりのこしたことは、なし
さて、出発だ

浦和に帰る前に沼津と富士山
そう決めていた

沼津についたら観光客は行くことのない岡宮
東国と西国の境界線で祭祀や調整ごとが行われた

石碑には駿河一之宮だったことが記される
岡宮浅間神社

バス停から親切に案内してくれた若い女性
鎌倉時代からつづく武将の家系だと聞いた

ちょっと不思議な縁を感じて周辺を歩く
藤の花とお茶の若葉

富士に、箱根の山々
駿河の海に、伊豆の山波
三島に、裾野の平地

見晴らしの良かった場所に違いない
ここで神官と巫女は富士に祈りをささげた

樹齢千数百年の大楠はゆったり穏やか
苔むす祠は春の光を浴びてほほ笑む

激しいエネルギーに満ちた熱海
おおらかなる優しさを感じる岡宮

ともに強き力だが個性が違う

そんなことも感じながら大昔の先祖を想う

沼津の駅に戻り、港へ急ぐ
夕刻にもなると開いている飲食店もまばら

そりゃそうだ、と納得(笑)

大型展望水門 ”びゅうお”
大型の太陽が港に射し込む

水門の上からは360度の景観
焼津方面に陽が沈むのを楽しむ

この日は沼津に泊まって翌日は富士宮

沼津で富士に見送られて、また富士へ
待ってましたとばかりに青空に富士山

ハナミズキの花のスカーフ
盆栽風の富士の高嶺

浅間大社では鯉のぼりが泳ぐ

ゆっくり参拝
観光客のツアーガイドさんの説明に耳を傾ける

知らないことも多くてお勉強

湧玉の地は禊の聖域
豊かな湧き水は清らかに流れる

水草の緑も鮮やかに光り
花嫁は喜びに咲く

無垢に白
着物に花飾り

今更ながら拝む角度で姿が違う富士山
富士宮の方角からは起伏があって力強い

時に荒々しき山の神

素敵な建物、静岡県富士山遺産センター
中を回遊しながら人々の想いを想う

遠く離れていても、お姿を拝見できるだけで幸せ
誰もが認める、やっぱり日本のど真ん中

強くて、美しくて、安心できる力

帰路につく夕刻まで富士宮と西富士宮の街を散策
さて、新幹線に乗車するのに三島まで行くのも・・・
ちょうど東京行の高速バスがあったのでこちらを選択

二時間半で到着です(便利!)

太陽を追いかけて 朝日から夕日

わたしには熱海は朝日の場所
眠い目をこすりながら港に向かう

朝焼けの中から朝の太陽
次第に明るく黄金色に輝きはじめた

ヨットハーバーから灯台
海の出入り口を喜びが照らす

小さな旗は渚にゆれる
海鳥たちも潮にあそぶ

4月10日のはじまりまじまり

朝を吸い込む湾にはいくつものモニュメント
光線が座るベンチのフォルムも美しい

海辺の手すりで雀が陽を見つめる
気持ちよさそうに羽を震わせてさえずった

ビーチにつながる恋人たちの岬
この日も思い出の縁が結ばれることだろう

しばらく暮らした熱海
海まで十分、山すそまで十分

ゆっくり歩いて坂道を楽しむ

朝日に満足したこの日
午前中はのんびりして午後から夕日を追いかけた

無人の改札、来宮駅から出発
品のある駅舎が好きだ

熱海駅経由で三島駅
三島からは初めて乗った伊豆箱根鉄道の駿豆線

さてどこから夕日を観ましょうか
伊豆半島の真ん中を通る電車の旅

午後の光にまどろみながら
まずは終点の修善寺駅まで

修善寺温泉まで東海バスで十分
ずいぶん前に車で訪れた懐かしの地

渋滞の中、ようやく辿り着いた記憶
今回は春眠の落ち着いた旅

以前よりずいぶんときれいな街並み
山の神(山王)を祀る日枝神社の大木

少し目が覚めてきた

海辺に向かう前に立ち寄っただけの観光地
そのつもりだったが、風情のある温泉地

気負ったところのない美意識を感じる
山間で静かに思いやる祈りの土地

空海伝説の伊豆の奥地
温泉療養をもたらした独鈷の湯

寺は真言宗、臨済宗、そして曹洞宗へ
密教から禅宗へ変遷しながらも凛として立つ

力強い屋根と龍
新緑に訪れる人も鳥たちも嬉しそうだ

ここは伊豆の巡礼地の最終寺
初めて、八十八目の札所だと知る

満願の伊豆

あるものは長寿健康を願い
あるものは豊かさを願い
あるものは恋の成就を願う

わたしの願いも叶ったのか(笑顔)

小さな温泉地
沢の音を聞きながらゆっくりと散策

伊豆の小京都

今は青もみじ
竹林の歩道には大きな円形のバンブーベンチ

川の中に立つ独鈷の湯
桜の囲い幕に女性的センスを感じる

足湯に浸かり
ゆったりした時間と長年の癒しをいただく

さて、夕日の名所
西伊豆の土肥(とい)に行きますか

修善寺温泉から修善寺駅まで戻る
そこから土肥温泉までバスの往復切符を購入

天城の山波を西に越え
金を採掘した山を抜けてゆくと駿河湾

五十分のバス旅
また、まどろみの峠道

目が覚めるとちょうどいい時間
夕日が西の彼方に広がった

松原を越して、漁港の防波堤を歩く
釣り人を横目に、先端まで進む

朝の太陽は、東伊豆の熱海(温泉)で
春の眠り陽は、中伊豆の修善寺(温泉)で
沈む夕日は、西伊豆の土肥(温泉)で

相模湾で、朝日を拝み
天城の山あいで、春陽を楽しみ
駿河湾で、夕日に染まる

伊豆の太陽
これぞ、満願(笑顔)

ありがとう
Everything

十国峠 日金山から下山

熱海から元箱根行のバスで十国峠へ
ケーブルで山頂に登る

この日は春の霞に富士山は隠れ
薄曇りの中に太陽が柔らかく照らす

伊豆山神社のもともとの場所は山の上
今は真言宗日金山東光寺

一度は訪れてみたいと思っていた聖域
松葉、木生、金地の三仙人の塚に守られる

地蔵尊を本仏としたのは末代上人
富士山で修行を重ねた聖者

静かにたたずむ異界
伊豆に縁のある魂が集う場所だともいう

今は僧も常駐しない由緒ある寺
来るものを見定める気を感じる

そして、温かく見守る
穏やかな世界

地蔵尊に包まれて石仏も天地に帰る

ここは標高770メートル
長野あたりだとリンゴが美味しく実る高さ

場所が変われば、趣も違う
あまり背の高くない木々が道を覆う

伊豆山や来宮から登ってきた修行僧
十国峠の頂上で富士を祈ったに違いない

そしてこの地は箱根周辺とも同じ
大磯(唐地)とも関係が深い

異国の文化や技術をもたらした帰化人
高句麗や唐の人々が開拓してきた地域

笹の道を通りながら風にそよぎ
はるか彼方と過去と未来を見つめただろう

本当はケーブルカーの往復券を買っていた
ここに来たら海まで歩いて下りてみたくなった

峠越えの片道ハイキング

岩戸山の頂上付近でひと休憩
大地に寝転びながら空を仰ぐ

見渡せばゴルフ場のような見晴らし
素敵な樹木も立っている

黄色い花
青紫の花

春の喜びの草花
海風と山風

来てよかった

岩戸山の頂上でベンチに座る
自撮りした後に、先を急ぐ

けっこう大変なハイキング

いったいどれくらいの距離を歩いたのだろう
岩戸山を下りて七尾を進む

紅白の八重桜
舞う花弁はさくら吹雪

道を駆け降りる花弁と一緒に歩く
どう考えても彼女らの方が元気で楽しそう

疲れ切ったわたし
途中でバスに乗ることもできたが・・・・意地

紅の桜に応援されて、ようやく伊豆山神社

境内では生まれたての楓の葉
うす黄緑のうぶが下界の春を喜ぶ

春の十国峠
ありがとうハイキング

登って、下って、往復した昔
これは大変な旅だったはず

まさに修行の地
わたしは下りだけで、へたりました(笑)