わたしに、ただいま 江の島

わたしに、ただいま

江の島にきた
海に香りがする

天気は快晴だ
富士山も雪化粧

伊豆半島も大島も
烏帽子岩も無数の帆も見渡せる

9月21日
めったにない天候の祝い日

道行く人々もお気に入りの彫像も
陽気な力を島中に放った

参道に入るとインバウンドのお客さん
もちろん日本人の笑顔も満載だ

タコ煎餅の「きゅーっ」という音
行列できゅうきゅうの店先

辺津宮、中津宮、奥津宮、龍宮と順番に回る
白龍も、天女も、八方睨みの亀も輝く

昨晩は江の島花火大会
天候は良くなかったようだがこの日は晴れ

洗い清められたような島日和

とにかく海は静かで美しい
海の青と天の青

きらめく陽の光
秋の太陽の道となって島につながる

寄せる波はさまざまな形に変わる
すべてが地球のオブジェとなって消える

ただ、それをじっと眺めていた
ここの海が好きだと思いながら

台風24号は古いものを洗い流した
岩場もきれいに磨かれた

潮だまりをのぞき込む
魚や蟹も澄んだ海水に遊ぶ

驚いたのは波と風の力
岩屋と岩場をつなぐ橋が崩壊

少し離れると「ハイヒール」の形
空いた空間に何ともいえない興味をそそられる

この古い階段は、どこにつながる?

ここだけではなく、船着き場の通路もない
見上げると岩屋につながる通路も傷んでいる

いつもの場所で寝転ぶ

空を見上げる
波の音を聞く

岩場まで下りてきた人々を眺める
岩屋の窟もきれいになったと感心する

緑豊かな海藻は芝の絨毯のように美しい
岩と緑と海水は俯瞰した地球の大地の様相

江の島を離れると夕日
全てが黄金色に染まる

島も、人も、船も

山々は茜の中に眠る
富士山も記憶に残る素敵なシルエット

やっぱりここは好き

帰りは鎌倉によって八幡さまに感謝
月の美しい十三夜

結ばれる寿
流れる雅楽の音色

月と松明に照らされるご両家
「幸せのおすそわけ」というつぶやきが聞こえる

わたしもなぜか嬉しい気持ちになれた月夜

旅の終わりは花巾着 高尾山

信州から関東に戻る
八王子に一泊したのは高尾山が目的

旅の終わりは、花巾着

この象徴が各地を旅した1年半の結び
大きく開いて伸びやかに放った時間

花は結んで、多くの喜びを包み込む

その形は、愛の形
その色は、愛の色

柔らかで、はかない花の巾着
だからこそ、大切に覚えておきたい

ようやく高尾山に戻ってきた
さすがにこの日は楽をさせてもらう

車山で好きになったリフトに高尾でも乗車
きつい傾斜を楽しむ私

真っ先に向かったのは福徳弁財天
途中で見かけた花の巾着

結びの形

そのあと、ゆっくりと本殿へ
太陽と彫刻を楽しむ

20年
鮮やかに塗られた彩色も時を経てあせる

裏の彫刻は「龍」と「虎」
またいつの日か鮮やかに塗られ次につながる

数年前、ここから始めた長い長い旅
ここで、ひとつの結びとすると決めている

花の巾着
歓びと感謝を感じられるようになった私

これからは今までとは違う人生の旅
別の意味でまたタフにはじめてみたい

台風24号で折れ、倒れた木々
痛々しさを感じながらも、逞しき高尾山

もう活力を取り戻している
見習うべきは、自然なり

信州から出発 諏訪を歩く

5月の連休に軽井沢
9月からは車山高原

5か月を過ごした信州を10月9日に発つ
車山で感じたのは「出発」という言葉

佐久に出て新幹線で大宮に向かうか
茅野から中央線で都心に向かうか

若人の友が車で送ってくれるというので
山の上から下諏訪に出る

久しぶりのラーメンを食した後は下社秋宮へ
友とはここで別れを告げて萬福の中でまどろむ

熱い温泉を出す御手洗の龍
その前のベンチで1時間は過ごしただろうか

「お疲れさま」「いろいろ感じたようですね」と
諏訪の龍が優しく微笑んでいた
空は晴れ、社殿もいつものように明るい

ありがとうございました

下社秋宮から春宮までゆっくり歩く
台風が去って洗い流されたためだろうか

この日は夕刻近くになっても明るい

浮島の払戸の神
清らかな霧ヶ峰の山の気、水の気を感じる

春宮は諏訪湖に流れ込む砥川
水神の力を守る宮

下社主祭神の八坂刀売(やさかとめ)の命
水や船と縁の深い海神族の出という説もある

不要な迷いや邪念を払って旅立ちの準備完了

信州を出る前に、もう一度
万治の石仏へ

空を見上げると青空に女神
手のひらを空に向け、万人を受け入れる

如来さまかもしれないな
そんなことを想って石仏を撮影

石の中に浮き出したレリーフ
頭は大きな石の上に乗っているだけなのか

岡本太郎氏のいうように安らぎを感じる
全体の形、表情

刈り入れも終わり、干したばかりの稲穂の連
秋の実りの阿弥陀如来かな

流れる川も清らかなり

春宮からのんびり歩いて諏訪湖まで
夕焼けに染まりはじめた湖上の雲

二つの力が合体したような印の形
男と女か 天と地か

水鏡も茜に揺らぎはじめた
穏やかな諏訪の湖

ここから遊歩道を上諏訪駅まで
ぐるりと半周近く歩いて諏訪湖を満喫

この日の夜、信州を発ち
八王子で一泊することになる

わたしに、ただいま。